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名古屋地方裁判所 昭和56年(行ウ)1号 判決 1985年10月25日

原告 八木敏之 外一名

被告 田中実 外七名

主文

一  原告らの請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は原告らの負担とする。

事実

第一当事者の求める裁判

一  原告ら

1  被告らは、各自豊田市に対し金二万五一二五円及びこれに対する被告佐藤八十朗、同太田鉄雄については昭和五六年一月一五日から、その余の各被告については同月二〇日から各支払済みに至るまで年五分の割合による金員を支払え。

2  訴訟費用は被告らの負担とする。

3  仮執行宣言

二  被告ら

主文同旨

第二当事者の主張

一  原告らの請求原因

1  当事者

(一) 原告両名はいずれも肩書地に居住する豊田市の住民である。

(二) 被告らはいずれも昭和五五年八、九月当時豊田市の左記役職にあつた職員である。

被告田中 実  計画開発部長

被告太田鉄雄  右同部次長

被告川澄義高  右同部区画整理課長

被告山内 泰  右同部右同課課長補佐

被告伊藤勇夫  右同部右同課計画係長

被告磯谷忠義  右同部同課右同係主査

被告原 昌芝  右同部都市計画課長

被告佐藤八十朗 右同部右同課計画第一係長

2  被告らの行為

(一) 被告らは、昭和五五年八月から九月にかけて別紙文書目録記載の文書(以下「本件文書」という。)を豊田市の住民らに豊田市の費用をもつて印刷配布した。

(二) 本件文書は次のとおり被告らが豊田市の費用と労力をもつて作成・配布することは許されない性質の文書である。すなわち、

(1) 本件文書は住民が作成名義人となつており、私文書であることは明らかであるところ、私人名義の文書は当該私人が自らの費用と労力により作成するのが当然の事理であり、本件文書を作成・配布するに要する費用は地方自治体がその事務を処理するために必要な経費ということはできない。

(2) 仮に行政当局が住民サービスや事務の合理化の観点から必要な場合に一定の様式の文書を作成し住民に提供することがありうるとしても、右は地方自治法二三二条の趣旨に照らして真に地方自治体の事務を処理するについて必要なものでなければならないが、本件文書は地方自治体の事務を処理するについてその作成・配布が必要なものということはできない。

本件文書の作成・配布の経過は次のとおりである。すなわち、

愛知県豊田市梅坪地区においては昭和五〇年頃、一時、土地区画整理事業の話が持ち上がつたが、強い反対運動にあつて事実上棚上げとなり、右土地区画整理事業に関係する豊田市の四町三役会は昭和五四年一月従来の計画を白紙撒回することを決定し、住民に通知した。しかし、その後、右四町三役会は関係住民に対して「梅坪地区における将来の町造り構想について」と題する書面を配布し、右書面の一部(仮同意書と題する部分)に必要事項を記入させて回収し(以下、この書面の回収部分を「本件仮同意書」という。)、本件仮同意書の回収の趣旨が土地区画整理事業計画の具体的内容は全く白紙の抽象的な意向調査であつたにもかかわらず本件仮同意書をもつてあたかも都市計画道路、駅前広場等を含む具体的な計画への賛成であるかの如く歪曲し、これを前提として、豊田市長宛に土地区画整理事業の早期実施の要請書を提出した。

その後、昭和五五年二月二〇日から同年三月五日までの間に豊田都市計画豊田梅坪地区土地区画整理事業計画(以下「本件事業計画」といい、この事業計画による事業を「本件土地区画整理事業」という。)の縦覧がされ、これによつて、計画の概要が関係住民に呈示されるや(なお、同年四月七日、愛知県知事は愛知県告示第三八四号をもつて豊田都市計画道路の変更決定をした。)、右計画の概要が、従前反対運動により事実上棚上げとなつた案とほとんど同一内容のものであつたので、反対運動が強く起こり、このような反対運動の中で関係住民三七一名(世帯)中一四二名(世帯)の反対意見書が提出されるという事態となつた。

そして、更に昭和五五年七月四日に至り、関係住民のうち二七名を原告とし、愛知県知事を被告とする本件土地区画整理事業に関連する同県知事のした都市計画決定の取消請求事件(名古屋地方裁判所昭和五五年(行ウ)第一八号事件)が提起されたため、豊田市側としては、関係住民の反対運動に対して早急に対応策を執らなければ、将来、本件土地区画整理事業に重大な障害が発生することが予想される状況となつた。

そこで、被告らは地元市議、区長らと相謀り、関係住民中の本件土地区画整理事業計画について反対意見書を提出した住民に対し、その反対意見を撤回させて計画に賛成せしめる意図、すなわち、反対運動を切り崩す意図をもつて、本件文書を作成し、地元有力者である区長らに封建的な人間関係を利用するなどしてこれを配布した。

以上のとおりの経過によつて、本件文書は作成・配布されたのであり、右経過からすれば、本件文書は、本件土地区画整理事業の行政手続において何らの必要性、合理性が存しないものであり、その動機、目的、配布方法において極めて不当なものであつて、行政の中立性、公正性を損うものであるから、本件文書の作成・配布が地方自治体の事務を処理するについて必要なものとは到底いうことができない。

3  豊田市の損害

(一) 前記のとおり、本件文書の作成・配布は豊田市の費用と労力をもつて作成・配布することは許されない性質の文書であるから、本件文書の作成(印刷)、配布について豊田市が支出した費用は豊田市の被つた損害というべきであり、また、被告らが本件文書を作成するに要した労務は本来豊田市の真正事務を行なうために供されるべき労務であるから、右の本件文書の作成に要した労務相当の費用もまた豊田市の被つた損害というべきである。

(二) 本件文書は合計一三七部が印刷され、その印刷費用は一部金七五円であり、配布費用(封書郵送費)は一部金五〇円である。

また、被告らが本件文書の作成に要した労務相当の費用は被告ら一人当たり金一〇〇〇円とみるのが相当である。

従つて、右総合計金二万五一二五円が豊田市の被つた損害である。

(三) 仮に、本件文書の印刷費用が一部金七五円でないとしても、少なくとも一部金四〇円であるというべきである。

従つて、豊田市の被つた損害は少なくとも金二万〇三三〇円を下廻るものではない。

4  監査請求

原告両名は、昭和五五年一〇月一三日、豊田市監査委員に対し被告らが本件文書を作成したことの違法性(ないし不当性)の確認とこれにより豊田市の被つた損害の補填を求めて豊田市職員措置請求をしたが、同委員は昭和五五年一二月一二日、右請求を棄却する旨の決定をした。

5  よつて原告らは豊田市に代位して、被告ら各自に対し前記3(二)の損害金合計金二万五一二五円及びこれに対する本件訴状送達の日の翌日である、被告佐藤八十朗、同太田鉄雄については昭和五六年一月一五日から、その余の各被告については同月二〇日から各支払済みに至るまで民法所定の年五分の割合による金員を豊田市に支払うべきことを求める。

二  原告らの請求原因に対する被告らの認否

1  請求原因1は認める。

2  同2について

(一) 同2(一)のうち、被告田中実、同原昌芝が本件文書を作成・配布したことは否認する。その余は認める。

被告田中実、同原昌芝は、いかなる意味においても本件文書の作成・配布には関与していない。

(二) 同2(二)のうち、本件文書の作成名義人が住民であることは認めるが、その余はすべて争う。

3  同3について

(一) 同3(一)、(二)は争う。

(二) 同3(三)のうち、本件文書の印刷費用が少なくとも一部金四〇円であることは認めるが、その余は争う。

4  同4は認める。

5  同5は争う。

三  被告らの主張

1  本件文書は公文書とはいえないにしても、作成名義人である私人が作成して豊田市長に提出することにより地方自治法一四九条一項八号にいう公文書類となるものであつて、公用文書であり、かつ公法上の文書となるものであるから、作成名義人が私人であるとの一事をもつて、豊田市の費用と労力をもつて作成・配布することが許されない文書であるとする原告らの主張は失当である。

2  豊田市の費用と労力をもつて本件文書を作成・配布することは、当然のこととして許容されるべきであるし、むしろ次のとおり当を得たものである。

(一) 本件文書の作成・配布の経過は次のとおりである。すなわち、

(1) 本件土地区画整理事業を行なうについて、あらかじめ、どの程度の賛成が得られるかを把握し、行政の参考とするため、昭和五四年六月一三日付をもつて、梅坪町、東梅坪町、京町、上原町の四町三役会の名で、本件土地区画整理事業計画の区域内の住民に対し、同事業の賛成、不賛成について意見を求めた際、関係住民三七一名のうち三三〇名に及ぶ多数の者の賛成が得られ、右賛成者からは本件仮同意書の提出を受けていた。

(2) ところが、そのうち、本件土地区画整理事業に対する反対運動が起こり、昭和五五年三月四日には本件土地区画整理事業計画の区域内住民のうち一三八名から豊田市に対して反対意見書が提出された。

(3) しかし、右反対意見書を提出した一三八名のうち九二名は先に本件土地区画整理事業計画に賛成して本件仮同意書を提出した者であり、かつ、本件土地区画整理事業については、施行者たる豊田市において既に二十数回に及ぶ関係住民に対する説明会を開催しており、右説明会開催時の雰囲気からも右の如き多数の反対意見者が存するとは考え難いところであつた。

(4) 一方、昭和五五年五月頃から八月頃にかけて豊田市の本件土地区画整理事業の担当課(計画開発部区画整理課)に、梅坪下町区長及び梅坪二区区長から、前記反対意見書提出者中に反対意見を撤回して事業に協力したい旨の相談を受けたので、右翻意者の取扱方法を考慮して欲しい旨の申し出がされた。

(5) 右事情から、本件土地区画整理事業の担当課である計画開発部区画整理課において計画開発部次長(被告太田鉄雄)、同部都市計画課計画第一係長(被告佐藤八十朗)を加えて協議をし、前記反対意見書の署名者についてその真意又は現在における意見を確認して賛否の実体を正しく把握する必要があるとの結論に達し、住民の意向を把握する方法として本件文書を作成し、この様式で意向を申し出てもらいたい旨説明して、区長及び市議会議員を通じて配布することとし、昭和五五年八、九月頃、本件文書を作成し、これを求めに応じて配布した。

(二) 本件文書の作成・配布の経過は右のとおりであるところ、本件土地区画整理事業の施行は豊田市の行政事務の一端をなすものであり、その過程において関係住民の意見の如何、若しくは、変更の有無を正確に把握することは、市職員がまさにその職責として遂行すべきことである。そして、その方法として多数人に関係する場合、事務の合理的な運営のため区々雑多な用紙や様式によることを避け、できるだけ統一した用紙と様式をもつてするのが妥当であることはいうまでもないから、申出希望者が利用するための様式を作成し、これを関係者に無償で提供することは、いささかも違法ではなく、むしろ当を得たものというべきである。

第三証拠関係〈省略〉

理由

一  請求原因1(当事者)、4(監査請求)及び同2(一)のうち、被告田中実、同原昌芝を除くその余の各被告が昭和五五年八月から九月にかけて本件文書を豊田市の費用をもつて印刷し、同市の住民らに配布したことは当事者間に争いがない。

二  そこで、本件文書の印刷、配布に至る経緯についてみるに、成立について争いのない甲第一号証、第三、四号証、第二二号証、原告八木敏之本人尋問の結果により成立を認め得る甲第一二号証、証人杉浦二郎の証言により成立を認め得る乙第二号証及び証人杉浦二郎、同岩松守、同岩松文一の各証言、被告太田鉄雄本人尋問の結果並びに弁論の全趣旨によれば、

(1)  豊田市は、昭和四六、七年頃から、同市梅坪町、東梅坪町、上原町及び京町の四町を対象地域とする豊田市施行の土地区画整理事業を計画していたが、右計画の早期施行を図る目的で、右四町の自治組織の役員で構成される四町三役会は、昭和五四年六月頃、豊田市と協議のうえ作成した「梅坪地区における将来の町造り構想について」と題する書面を右四町の住民に配布し、右書面の一部(仮同意書と題する部分)に必要事項を記入させて、同年七月にこれを回収し(本件仮同意書)、同月二四日付で本件仮同意書の提出状況の集計結果(同意率四町計八八・九パーセント)を記載して土地区画整理事業の早期実施を依頼する旨の「梅坪地区における将来の町造を見込んだ都市施設の決定及び区画整理事業の実施について(依頼)」と題する書面を豊田市長に提出したこと。

(2)  その後、昭和五五年二月二〇日から同年三月五日までの間に本件土地区画整理事業計画及び都市計画の変更計画の縦覧がされたが、右の具体的計画に対しては、右計画により特に影響の大きい東梅坪町の住民を中心として強い反対運動が起こり、昭和五五年三月四日付で、右反対者合計約一四〇名から豊田市長に対して右計画に反対である旨の意見書が提出され、更に、昭和五五年七月四日には、右反対者のうちの一部の者を原告とし、愛知県知事を被告とする本件土地区画整理事業に関連する同県知事のした都市計画決定の取消しを求める訴えが提起されるに至つたこと。

(3)  一方、右反対意見書に署名したが、その後賛成意見に翻意した住民も何名かおり、前記自治組織の役員である各区長は、右翻意した住民から相談を受け、これを市議会議員を通じて豊田市の計画開発部区画整理課に対しその扱いを考慮して欲しい旨依頼したことから、右計画開発部の担当職員であつた被告ら(但し、被告田中実、同原昌芝を除く。)は、翻意したとされている住民の真意を確認し、これを把握する必要があると判断し、協議のうえ、本件文書のような内容の文書を反対意見書提出者中の翻意したとされている住民に配布し、その氏名等を記入してもらつたうえで回収し、これを豊田市において保管すれば、右依頼の趣旨にも副うものと判断し、前記のとおり本件文書を印刷し、これを各区長に交付し、右各区長から翻意したとされている住民に交付してもらうよう依頼したこと。

以上の各事実を認めることができ、右認定を左右するに足りる証拠はない。

三  右事実を前提として、本件文書の印刷・配布を豊田市の費用と労力をもつてなすことが許されるか否かについて判断するに、まず、地方自治法二三二条一項は、普通地方公共団体は、当該普通地方公共団体の事務を処理するため必要な経費を支弁するものとする旨定めているところ、普通地方公共団体が土地区画整理事業を行なうことは、当該普通公共団体の事務に該当するものであることは、法文上明らかであるし(地方自治法二条三項一二号)、また、都道府県又は市町村が施行する土地区画整理事業にあつては、個人施行及び組合施行のそれとは異なり、宅地の所有者又は借地権者からの自発的意思に基づいて施行される事業ではなく、当該普通地方公共団体自身が、当該地域を土地区画整理事業を施行する公共的必要性のある地域であると判断し、都市計画的な観点に立つて計画的に市街地の造成を図ろうとするものである(土地区画整理法三条三項、三条の五第一項)から、当該普通地方公共団体が右事業を立案、計画し、これを円滑に遂行するため、右事業に関し、関係住民の意向を調査したり、右事業の施行に反対する住民に対し、右事業の内容、目的等を説明してこれを説得し、その協力を求めることも、当該普通地方公共団体の事務に属するものと解すべきであるから、豊田市が施行者である本件土地区画整理事業を施行するに必要な事務及びこれに関連した右のような事務をなすに要する経費は豊田市においてこれを支弁すべきものである。

従つて、本件文書の印刷・配布が、右にみたような本件土地区画整理事業をなすに必要な右事務等に該当するものであれば、これに要する費用(労力)は、豊田市において支弁すべきものであり、これを被告らに対して不当利得返還請求、若しくは損害賠償請求をなし得るものではない。

そこで、右観点から本件文書の印刷・配布についてみるに、前記認定のとおり、豊田市の本件土地区画整理事業の担当者である被告ら(但し、被告田中実、同原昌芝を除く。)が、本件文書の印刷・配布をしたのは、本件事業の初期の段階における地域住民の意向調査(本件仮同意書)では、大多数の住民が本件土地区画整理事業の実施に賛成していたのにもかかわらず、その後、本件事業計画等の縦覧がなされ、その具体的内容が地域住民に明らかになるとともに、反対運動が起こり、約一四〇名もの多数の者が、豊田市長に対し、本件事業計画に反対する意見書を提出したりした反面、反対意見書に署名した住民の中にも、その後、翻意した者もいる旨の情報が区長、市議会議員を通じて豊田市の担当者にもたらされるといつた混乱した状況の下で、豊田市の担当者である被告ら(前同)としては、翻意したとされている住民の真意を確認し、これを把握する必要があると判断し、また、そうすることが、右情報をもたらした市議会議員等の前記依頼の趣旨にも副うものと考えたからであるから、被告ら(前同)がした本件文書の印刷・配布は、前記説示のいわゆる「公共団体施行」である本件土地区画整理事業の性質に鑑みると、豊田市の処理すべき事務の範囲に属するものと認めるのが相当である。

原告らは、この点に関し、本件文書の作成・配布は反対運動の切り崩しを図つたもので、行政の中立性を損うものである旨主張する。

しかしながら、本件文書の印刷・配布が、翻意したとされている者の真意の確認、把握のみに止まらず、反対意見をなお有している者に対してその反対意見を撤回、翻意させることをもその目的としていたことを認めるに足りる的確な証拠はないし、また、仮に原告ら主張のとおりとしても、前記のとおり、反対意見を有する者を説得し、本件土地区画整理事業への協力が得られるように働きかけることは、施行者である普通地方公共団体において当然なすべき事務に属するのであるから、原告らの右主張は失当たるを免れない。

もつとも、前記認定事実及び原告西脇保、同八木敏之の各供述によれば、本件土地区画整理事業に対する反対運動は、前記梅坪町、東梅坪町、上原町及び京町を対象地区として土地区画整理事業をなすことそのものに対して反対をするのでなく、その計画の具体的内容に対して修正を求める運動というべきであつて、右対象地区内における住民間でも推進派と反対派に分かれていることが窺われるから、その限りで豊田市当局に対して中立を求めることも、あながち理由がないことでもないが、本件土地区画整理事業の前記性質に照らし、具体的計画に反対する者に対する説得が許されないとすれば土地区画整理事業の円滑な遂行が阻害されることは明らかであるから、右の事情にあることは前記判断を何ら左右するものではない。

次に、前記の翻意者の確認を文書にて行なつている点について考えるに、これが相当な方法であることは勿論であるところ、原告らは、私人名義の文書となるものについて用紙を普通地方公共団体が提供することは許されない旨主張するが、前記説示のとおり、本件文書の印刷・配布は、豊田市の処理すべき事務の範囲に属するのであるから、それが私人名義の文書であるか否かにかかわらず、これに要する費用を豊田市において負担することには何ら違法な点はないから原告らの右主張は採用することができない。

四  以上のとおり、本件文書の作成・配布を豊田市の費用と労力をもつてすることは何ら違法ではないから、その余の点を判断するまでもなく原告らの請求は理由がない。

よつて、原告らの請求をいずれも棄却することとし、訴訟費用の負担について行訴法七条、民訴法八九条、九三条一項を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 加藤義則 高橋利文 綿引穣)

文書目録

豊田市長 西山孝殿

住所

氏名 〈印〉

豊田都市計画豊田梅坪土地区画整理事業について

私儀、昭和五五年三月四日に「豊田都市計画豊田梅坪土地区画整理事業」および「都市計画道路豊田多治見線ほか二路線の変更と京町梅坪線ほか二路線(うち一路線は特殊街路)の追加決定」について反対の意思を表明しましたが、種々考えた結果、この事業に協力したいと存じます。

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